◆副都心線

河津桜

東京メトロの9番目の路線となる「副都心線」が6月14日に開業を迎える。副都心線は、和光市〜渋谷間20.2kmを結ぶ路線で、駅数は全部で16駅となる。このうち、志木〜和光市間は東武東上線として、和光市〜池袋間は有楽町線としてすでに営業している。開業後は、和光市東武東上線小竹向原西武有楽町線池袋線相互直通運転を行う。さらに渋谷では、2010年をめどに東急東横線とも相互直通運転を行う予定で、埼玉県南西部から都心を経由し、横浜に至る広域的な鉄道ネットワークが完成する。

都心を結ぶ最後の路線といわれているが、そりゃあそうだ、東京の地下をあちこち掘り返し、新しくなればなるほど、深くなって行き、もう掘る場所もないそうだ。っていうことは、この地下鉄も地中深く掘られているんだろう。交通手段が多くなるのはとてもけっこうだが、概して都心北部に集中し過ぎているのが気になるね。豊洲辺りにいると、こうした便利さの恩恵は受けないもんね。豊洲駅には未来の新線のために、幻の線路が敷かれていて、この綾瀬までの路線ができれば、とっても便利になるのだが、いかんせん話題にもなっていない。

副都心線渋谷駅で注目を集めているのが、安藤忠夫設計を手がけた「地宙船」と呼ぶ卵形の内部空間だ。駅全体を構成するコンクリート躯体の内側で、上層から順にコンコース階と機械室階、ホーム階の3層にわたる空間の一部を包み込んでいる。地宙船内の中央には、コンコース階からホーム階につながる楕円形の吹き抜けを設け、その吹き抜けの両横にも、中央の開口よりも小さな楕円円形の開口を配置されている。(新聞紙上より)

安藤忠夫の奇抜なデザインは一世を風靡しているようだ。だが、一方では東京都調布市の複合施設で、集会所部分の廊下にある斜めの壁に「平衡感覚がなくなり、足元がふらふらする」と苦情が殺到、複合施設の保育園では、打ち放しコンクリートなどが園児にとって危険であるという声が相次ぎ、750万円で改修したばかり、斬新なデザインがもたらした意外な「落とし穴」に、市は再び対応を迫られることになった。

デザインを重視するあまり、階段に手すりを付けない、狭い出入り口を一つしか設けないなど安全性を軽視する傾向もある。同様に、高齢者や障害者などの社会的弱者に対する配慮を怠り、いわゆるバリアフリーと逆行した建築も多い。ばかにもてはやされている安藤氏だが、その死後、異様な建物が景観を壊すだけでなく、使い勝手が悪いと非難された、丹下健三と同じような結果にならなければよいがね。優れた設計家が実は山師だったというんじゃ、ぶちこわしだもんね。