◆常用漢字

ハクモクレン

常用漢字表が改正され、新たに常用漢字となるのは岡山の「岡」などのほか、茨城の「茨」、栃木の「栃」、埼玉の「埼」、山梨の「梨」、岐阜の「阜」、奈良の「奈」、大阪の「阪」、愛媛の「媛」、鹿児島の「鹿」の計11字。81年にできた現在の常用漢字表(1945字)では、地名や人名など固有名詞として使われる漢字を対象外としたため、「岡」など日常生活でなじみの深い漢字でも表外字とされた。都道府県名以外の固有名詞は、数が多くなるとしてこれまで通り対象外とする。

これにはちょっとびっくりしたね。常時使っている漢字がこんなに多かったとは、「お釈迦様でも気が付くめえ」っていった感じだ。改めて見直してみると、確かに、大阪の「阪」、愛媛の「媛」、岐阜の「阜」、奈良の「奈」などという字は単独では使わないけどね。

栃木の栃という字にはちょっと面白い裏話がある。もともと栃という字はあまり使うことのない文字だが、栃木という県名は栃木町(いまの栃木市)の名をとったもので、誤字がそのまま、正式な都市名と県名になった珍しいケースなのだ。明治初年には、「トチ」は漢字で書けば「橡」か「杤」のいずれかだった。だから栃木県が成立した当初は「トチギ」は「杤木」か「橡木」と表記されていた。ところが県庁の役人が県の公式文書に「杤木」と記そうとして、間違えて「栃木」と書いてしまい、それがきっかけとなり、ついには定着してしまったという。

おまけにもう一つ。茨城県取手市と千葉県我孫子市利根川本流が境界線になっていて、右側が千葉県、左側が茨城県。だが右側にある小堀の集落は千葉県側にありながら、取手市の飛び地となっている。明治時代利根川は小堀のあたりで大きく蛇行し、小堀は利根川の左側だったが、明治から大正にかけての治水工事で曲流が直流に変えられ、小堀は利根川の右岸になってしまったというわけ。

常用漢字表:法令や公用文書、新聞、放送など一般の社会生活で、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安。昭和56年に1945字が制定され、文化審議会は平成22年の新常用漢字表制定を目指している。このほか漢字使用の目安や基準としては、常用漢字に含まれないが戸籍に記載できる人名用漢字(983字)、小学校6年間で学ぶ教育漢字(1006字)、コンピューターで処理するために規格を定めたJIS漢字(第1水準2965字、第2水準3390字)などがある。