◆立春

ミツマタ

はや2月の暦がめくられ、この寒い中、暦の上では立春がやってきた。この時期になると、いつものことながら、心理的に居ても立っても居られない気になる。いってみれば、心はおぼろ、気はそぞろ、身体はぼろぼろ、動きはのろのろ、あせりはいろいろとなってやってくる。あの花はもう咲いているだろうか、あるいはもう散ってしまったか、それが気になってしょうがない。なにせ、早春の花はあっという間に咲いて、あっという間に散ってしまうからである。それを見極めるには、億劫だけど現場に偵察に行かねばならない。

「天気晴朗なれど、風強し」。強烈な北風の中、久し振りに木場公園を歩いてみた。冬枯れの時期だから、碌なものがあるわけじゃなしと、しばらくさぼっていた。だけど、この時期になると、ウメとマンサクが咲き始めているんじゃないかって、気にもなってくる。「ウメは咲いたが、マンサクはまだかいな」って状態、ウメは一部が咲き始めたばかりのようで、満開にはまだ間がありそうだ。ついでに、大横川沿いのカワツザクラをのぞいてみたが、驚いたことに、ツボミがはちきれんばかり、来週後半には咲き出しそうな感じだった。

気になる、気になる、気になるなあ、あちこちの春の訪れが。昨年見頃が過ぎて訪れた池上本門寺そばの梅園、仙台堀川沿いのコウバイ、木場公園ミモザ、東陽橋沿いのハクモクレン北の丸公園のコブシ、ベニバナマンサク、皇居東御苑のヒゴミズキ、植物園のシダレウメ、浜町公園のナシノハナ、教育園のイチリンソウカタクリ永代橋際のオオヒガンザクラ。上野寛永寺のフユボタンは2月4日開園と、朝日地方版に載っていたから、しばらくは閑人が殺到しそう、ゆっくり見るためには、日をずらしかなさそうだ。

実をいえば、毎年これらの花の写真を激写しているわけだから、それら画像をひっくり返せば、いつごろ咲いたか、日時と時間までもがすぐに分かってしまう。だけど、それじゃ味も素気もない。いつ咲くのか、ソワソワ、ハラハラ、ドキドキ、ワクワクしながら思い描くからこそ、至高の妙味と醍醐味が味わえるわけで、早春の喜びは一にかかって、ここにある。