◆ニホン

後楽園の紅葉

もう残すところは1ケ月、いつになく早く過ぎた1年だった気がする。年ふるごとにそのピッチはいや増してくる。小春日和が続く毎日だが、とても年の暮れとは思えない。先月中旬には緑色だった後楽園のカエデ、ようやく真っ赤に色づいたようだ。星野ジャパンが韓国・台湾に勝って五輪代表を手に入れたと、連日大騒ぎしている。勝って当たり前の話、四十七士の討ち入りでもあるまいに、大騒ぎしてるんだから、世の中平和過ぎるよなあ。

「銀」は、これ一字で「しろがね」と読む。「こがね」は、金、「くろがね」は鉄、「あかがね」は銅、「はがね」は鋼、「じがね」は地金。「みやこがね」はもち米の銘柄、「ひよこがね……」で始まる童謡は「かわいいかくれんぼ」、「たがね」は鏨、「黒金ひろし」は漫画家、ものすごい博学家、「そうだがね」は関西弁だ。

「日本」の発音はニホンか、ニッポンか、長く論争されてきた問題に「答え」が出た。国立国語研究所などが実際の話し言葉を収録、分析した結果、約8200件の日本関連語で「ニホン」が圧勝した。ニッポンと発音されやすい「日本一」や「日本代表」でも「ニッポン率」は20%程度と分かった。「日本」の発音は一例で、国語辞典やアクセント辞典でも分からないが、例えば「日本」単独ではニホンが96%に達し、複合語でも「日本一」「日本代表」を除くと「ニッポン率」は数%止まりだった。NHKは「エヌエチケー」が70%で、「エネーチケー」(13%)、「エヌエッチケー」(5%)と続き、正しいとされる発音「エヌエイチケー」はわずか3%だった。

ただ、ニホンは3文字だから勢いをつけるのは吃音の入った4文字の方がいいわけで、オリンピックやサッカーの国際試合などでは、「ニッポン」の方がより印象が強くなるのは間違いない。大声で声援するには「ジャパン」より「ニッポン」の方が力強く聞こえるのは、やはり吃音が入っているからだろうね。歌舞伎の大向こうからの掛け声は播磨屋中村吉右衛門)、音羽屋(尾上菊五郎)、成田屋市川団十郎)、など4文字が多いようだね。花火では玉屋、鍵屋を「たまーや」「かぎーや」と3文字を4文字に変えて囃している。