◆雑文

「高山祭」朝日新聞より

コチトラが書く雑文といえども、気が向かなくなると、一行たりとも前へ進まなくなる。まるで、手かせでもはめられたように筆が前へと進まない。張り詰めていた筈のアンテナはことごとくしおれてしまって役に立たない。広範囲な知識への興味が失われ、吸収しようとする気力もなくなってしまう。

しかし、秋の気配が深まってくると、食欲が徐々に回復してきた。肉類には拒否反応が起きるけれど、腹が減るという現象が顕著になった。人間の身体ってうまくできていて、腹が満たされると、胃腸が活発に動き出し、排泄作用も活発化し、思考能力もよみがえってくる。恐ろしいのは舌がとってもハイブロー状態になっていて、にょうぼの手料理をまずいと判断してしまうことだ。

いまさらながら、体力の減退が、いかに気力の減退と裏腹なのかを思い知らされている。自分では5キロも減った体重が気になってしょうがないが、主治医から、これがベストコンデイションなんだからとかわされ、そろそろ容認しようかって気になっている。あとはもっと歩こうかいって気になることだけだ。その一方で、楽して転寝を続けようとする、悪魔のささやきに魅力を感じているのも事実、困っちゃうね。