◆こぶくろ

餘部鉄橋

日本でもっとも人気がある男性アーティストは2人組の「コブクロ」だと。こんな調査結果が出てビックリだ。これはオリコンが2万人を超える会員を対象にして実施した「07年好きなアーティストランキング」。トップは宇多田ヒカルで、2位コブクロ、3位ミスチル、4位aiko、5位ドリカムという順位になった。コブクロがすごいのは04年と05年は圏外、06年は30位だったのに、一気に2位に上り詰めたことである。発売中の「オリコン・スタイル」によると、30代総合と40代女性でトップ。意外な気がするのは10代での人気でYUIに続いて2位になっている。

コブクロの代表曲は05年発売の「桜」で、昨年発売されたベストアルバム「ALL SINGLES BEST」は230万枚を売り上げるヒットになった。今年は冬ドラマ「東京タワー」(フジテレビ)のために書き下ろした「蕾(つぼみ)」が3月に発売され、40万枚を売り上げた。コブクロはともに30歳の小渕健太郎黒田俊介の2人組、小柄な小渕と193センチの長身の黒田のデコボココンビで、別々に路上ライブなどをやっていて出会い、ユニットを結成した。

「今のエンタメ業界のキーワードはC(子供)T(ティーン)プラスF2(35〜49歳)。この世代に受けるとヒットするといわれ、コブクロはこのストライクゾーンなんです。彼らのメロディーに昭和のにおいがするからF2層に受けます。それと、かつて吉田拓郎井上陽水らのシャベリがうまくてコンサートで受けたけど、コブクロも同様です。シャベリが面白くて子供も親もライブで飽きないんです」とは識者の話だ。

ぼくらの世代でいえば、コブクロは焼き鳥の一種として、そして、刺身は臓物料理屋のメニューの中でも、ゲテモノの部類に属していた。須田町にある牛の臓物専門店で、珍味だからと無理強いされ、口に入れた途端、吐き気に襲われゲボってやってしまった。店主が奨めた友人に、ダレでも食べられるものじゃないからって、やんわりとお説教していた。ところでコブクロとはなんぞや。コブクロは漢字で書くと「子袋」、つまり女性またはメスの胎内にある「子宮」のことである。知ってか知らずか大変な名前を付けたものだが、ファンなんて無邪気なもの、語源なんてまったく知らないもんね。また、知ったところで、別段、興味もわかないだろうけどね。