◆県境

アガパンサス

16日新潟中越地方で発生した大地震は、「2007年中越沖地震」と名付けられた。このように地震が頻発すると、地震名の前に年度を入れるという発想はとてもいい試みだと思う。現実問題として、前回の「能登沖地震」はまだ記憶に新しいとして、その前に起きた「中越地震」はその生々しい映像が記憶に残っているものの、何年前だったかもう忘れてしまっている。

地図を取り出して、地震の中心地になってしまった柏崎市を見てみる。中越といっても、富山県よりで、隣接する「上越市」は信越線の終点「旧直江津市」や豪雪地帯の代名詞のような「旧高田市」などが合併して誕生した都市だ。近年柏崎という地名は拉致家族として北朝鮮より帰国した地村夫妻と親子が住む場所として有名になった。確か地村さんは柏崎市役所に勤務していると聞いているが、目先の利いたマスコミに追っかけまわされなきゃいいんだけど。

新潟県日本海沿いに南北に細長く延びた県で、山形、福島、群馬、長野、富山と境を接する。天気予報などでは、新潟市を中心とした「下越」、長岡市を中心にした「中越」、上越市を中心にした「上越」などと分類されて放送されることがある。また、天気予報で加越というと、加賀、越中、越後、つまり石川、富山、新潟を意味し、北陸地方とくれば、この3県に福井が加わり、広域天気予報で使われる関東甲信越の越は越後、つまり新潟のことを指す。

越の上中下という分類は、上杉謙信の時代にさかのぼる権力闘争と、群雄割拠となった、その後の大名領地に関係しているのはいうまでもない。明治維新の際、東北雄藩同盟に加担し、錦の御旗に抵抗した「長岡藩」を、維新政府の先兵として、「新発田藩」が戦火を浴びせたのは皮肉かつ有名な話だ。「長岡藩」は朝敵の汚名を払拭するのに苦労したので、山本五十六田中角栄という英雄の出現は長岡市民を歓喜させた。

1都1道2府43県の日本国だが、大きい順に並べると、北海道、岩手、福島、長野、秋田、小さい順に並べると、香川、大阪、東京、沖縄、神奈川の順となる。島国でありながら、海に面していない県は栃木、埼玉、群馬、山梨、長野、岐阜、滋賀、奈良の8県だ。県境が最も多いのが長野県、新潟、群馬、埼玉、山梨、静岡、愛知、岐阜、富山、なんと8つの県と境を接している。埼玉が入っているのは意外だったが、地図をよく見てみると、秩父山系辺りで接していた。