◆コメンテーター

古石場

いつの頃からか、テレビの司会者がキャスター、解説者がコメンテーターと呼ばれるようになった。ハイカラな名前になった代わりに、鋭い舌峰がどういうわけか影を潜めるようになり、とりわけ、コメンテーターはいないよりましかっていう程度の影の薄い存在になってしまった。だから、その存在理由がさっぱり分らないことになる。局が選ぶのは当然有識者ということになるが、普通のオジサン、オバサンが口にしそうなことを言ったり、当たり障りのないコメントに終始するじゃ、リストラしちゃえって叫びたくもなるね。

テレビ朝日報道ステーション」のコメンテーター、加藤千洋朝日新聞編集委員)は白髪、ダンディ、物分かりがよく、ソフトな語り口、テレビ的には完璧である。たけど、この人の口から気の利いたコメントやグサリと突き刺さるような鋭い筆舌というのを聞いたことがない。古舘伊知郎がハイテンションであるだけに、尚更目立ってしょうがない。当たり障りのないコメントに終始し、「その先が聞きたいのに」って、古舘以上に視聴者をイライラさせてくれる。

フジテレビ朝のワイドショー「とくダネ」、週一で出てくる作家・室井祐月はおばさんキャラでも優等生キャラでもなく、自分の本音を誰にも媚びずにしゃべっているのは好感が持てる。違う日に出ている真鍋かおりなんかは、ただ、お飾りそのものの存在で、自分で考えた意見なんて聞いたことがない。こんなのが「ブログの女王」だって?笑わせるんじゃないよね。コメンテーターらしいのは、その人しか言えない、その人だからこそ言えるコメントを発する「寺島達郎」かな。

宮崎哲弥」、「橋下徹」はデビュー当初こそ鋭いコメントを発していたが、視聴者を意識するようになって、当たり前のことしか言えない普通の人になり下がってしまったね。政治評論家・「三宅久之」はその悪人顔と、老いの一徹で決めつける言い方に特徴があるが、いかんせん自他共に許す自民党の応援団だから、その説法もうさんくさくなる。「デーブ・スペクター」はいじられ系のキャラだが、ギャグが滑って小倉にいじめられても、めげない姿は痛々しくもあり、逆に好感が持てる。もっと活躍の場を与えれば真価を発揮するだろうにね。