◆ハマの名伯楽

ブーゲンビリア

大リーグ・レッドソックスの松坂は3日(日本時間4日)、地元ボストンでの対デビルレイズ戦で先発登板し、8回を無失点に抑え、9奪三振、被安打4と好投し、10勝目を挙げた。日本人投手でメジャー1年目での2けた勝利は、95年の野茂(ドジャース)、02年の石井(同)以来の快挙?

ご存じダイスケは破格の入札価格と契約金、年俸でレッドソックスと契約、数字の上でこそ、10勝とまずまずの成績を残している。ところが、その内容たるや、さんざんたる有様、得意のストレートは伸びを欠くし、コントロールも定まらず、変化球を駆使してなんとかごまかしのピッチングを続けている。っていうより、レッドソックスの強力打線におんぶにだっこといった状態だ。米メデイアでも「剛速球投手として期待していたが、なんだ、変化球投手なのか」なんて皮肉られている。

このダイスケを育て上げたのが神奈川地区の強豪校、横浜高校だ。今年のオールスターに選ばれた、西武の涌井と、ロッテの成瀬はともに横浜高校でエースを張っていた。涌井 秀章(西武)はパリーグ・トップの11勝をあげ、昨年に引き続きオールスター出場。涌井は横浜高校2年の時、春の選抜に先輩の成瀬(ロ)らと出場し準優勝、3年夏は甲子園ベスト8で国体優勝。04年ドラフト1位で指名され、今年で3年目。成瀬 善久(ロッテ)は左腕としてはチーム最多の6勝を上げ、オールスターに監督推薦で選ばれた。横浜高校では2年秋からエースとなり3年センバツは準優勝、03年ドラフト6番目でロッテに指名された。

二人を比べると、ドラフト1位と6位、涌井が期待されて入団したのに、成瀬の評価は予想外に低い。ところが今年の成瀬はまるで鬼神のような活躍ぶりで、左腕エースとして、ロッテに欠かせない戦力となった。これって、ドラフトでの評価如何にかかわらず、伝統校で名伯楽に鍛えられてきた実力が、再び蘇ってきたってことになる。「艱難汝を玉とす」っていうことか。一方の涌井はダイスケと同じく好不調の波が激しく、ドラフトで1位指名された甘さが付きまとって離れない。つまり、中々乳離れできないのだ。「乳母日傘」で、「蝶よ花よと育てられた」弊害だろう。横浜高校は熱血指導者小倉部長と渡辺監督の老齢化により、かっての勢いがない。「老いての子沢山」じゃ、「老兵は去りゆくのみ」ってことか。