◆窓の外

富岡八幡宮

見るからに不吉を思わせる月が南の空から顔を出している。にぶい渋柿色がうすぼんやりと、不気味さを漂わせている。まるで、「あなた達の地球は、かっての鮮やかなマリンブルーがすっかり姿を消してしまい、このような渋柿色をしているよ」って、地球に警告しているようにも見えたね。2時間後、月は中天に昇り、鮮やかな満月になっていた。満月と思っていたのが、実は上弦の月(半月)だったって、あとで分かったけどね。

日の出や日の入りと同じように、月の出、月の入りという言葉を使うが、太陽とは違ってとっても地味な感じだね。いつの間にか昇って、いつのまにか消えているっていうのが実感だ。厳密にいうと両者の出没時刻の定義は異なっていて、太陽の場合は、日の出は「太陽が見え始める瞬間」で、日の入りは「太陽が完全に見えなくなる瞬間」の時刻のことを指す。これに対して、月の出や月の入りは「月の中心の見かけの高度が0度になる瞬間」を指すらしい。

月の満ち欠けを月齢という数値で表しているが、月齢とは新月から数えて何日目にあたるかを表したものだ。宵に南の空に見える月は、月齢7〜8前後の上限の月(半月)東の空に昇ってくると、月齢14−15前後の満月、太陽と同じ方向に上がると、月齢29−1前後の新月になる。コチトラがベランダから月を見るのは、南東の空に限られているから、主として北西に浮かぶ三日月などは昇り切ってからでないと見られないわけだ。

三日月っていうと、なんとなく悲しげで、哀愁に満ちていて、それでいて、ロマンテイックな雰囲気を感じる。英語でいうクレッセント・ムーン、ジャズ・スタンダードの名曲、「フライ・トゥ・ザ・ムーン」、日本では、笑う三日月をデザインした「花王」の登録商標がすぐ目に浮かぶ。「花王」という会社名は、顔を花王と意訳したもので、石鹸が物を洗うものと思われていた時代に、顔を洗える石鹸として発売、顔を花王と意訳したシャレたネーミングで、急速に人口に膾炙していった。まさに、アイディアの勝利といえるかもしれないね。創業以来、花王製品は幾つもの分野でトップの地位を保っているが、他社よりワンランク高い商品を追求し、付加価値の高い(販売価格が高い)商品群を主力としながら、トップ企業を維持しているのはすごいことだね。