◆大国ニッポン

街頭芸人

モスクワで29日に開かれた第13回チャイコフスキー国際コンクールのバイオリン部門本選会で、日本の神尾真由子さん(21)が優勝した。4年に1回開催される同コンクールは若手演奏家の登竜門として世界的に知られる。バイオリン部門で日本人が優勝したのは1990年の諏訪内晶子さん以来、2人目の快挙となった。神尾さんは4歳でバイオリンを始め、10歳の時にシャルル・デュトワ指揮の交響楽団との共演でデビュー。国内外の著名オーケストラと共演し、前評判が高かった。ストラディバリ製作のバイオリンを使用。29日の本選では最後の奏者としてチャイコフスキーシベリウスのバイオリン協奏曲を演奏した。桐朋女子高を経て、現在はスイスのチューリヒでザハール・ブロン氏の指導を受けている。同コンクールでは98年に声楽で佐藤美枝子さん、2002年にピアノで上原彩子さんが優勝している。

ルーマニアで開かれたクラシック若手指揮者対象の「第2回バルトーク国際オペラ指揮者コンクール」で、日本の橘直貴さん(38)が1位、菅野宏一郎さん(35)が3位に選ばれた。橘さんは札幌市出身。桐朋学園大を卒業し、2001年のブザンソン国際指揮者コンクール(フランス)で決勝に進出、聴衆賞を受けた。菅野さんは東京都出身、桐朋学園大卒。ルーマニア在住で、現在は主にヨーロッパで活動している。

最近、日本の若手音楽家、とりわけ女性演奏家が欧米の音楽コンクールで、上位を独占するケースが目立っている。新聞では報道されない無名なコンクールでの優勝を加えると、圧倒的優位に立っているのは間違いない。もっとも、コンクール参加者の大半を日本人が占めているという異常現象も背後にある。その多くは家族ごと海外に移住し、有名な先生に師事、各賞を目指すというパターンで、リッチ大国日本を象徴する出来事だ。莫大な個人資産と時間を娘に投下したが、本人の挫折により結果を出せなかった例も圧倒的に多い。

海外のオーケストラを見る機会も多くなったが、メンバーの中に必ず日本人女性がいるのが目立つ。特に弦楽器部門が圧倒的に多い。ベルリン・フィルニューヨーク・フィルなどの著名なオケラはともかくとして、日本では比較的無名な欧米のオケラにも数多くみられる。ソリストとして一本立ちはできなかったが、得意の分野で才能を活かせたんだから、成功者といえるんだろうなあ。