◆二流の上

ゲンペイモモ

昔から、トップブランドに対する抵抗というものがあった。自分が二流だから、分相応に二流の上を選ぼうという謙虚さと同時に、ひがみ根性みたいな感覚もあったのは否定できない。ポロシャツはラルフ・ローレンラコステ、マンシングなどは決して買わなかったし、二流の上を買うことによって自尊心を満足させていた。ラルフにしてもラコステにしてもブランドに寄りかかって、素材は決してよくはなかった。鹿の子織の40番という粗目の安い素材を使い、値段はベラボーに高かった。綿製品は鹿の子織よりスムース織のほうが一段と着心地がよい。だから二流ブランドの高級品であるスムースがあれば、それにし、なければ番手の細い鹿の子織60番を選んで買っていた。

ナショナルの電化製品は絶対買わないし、キャノンのカメラ、ドコモの携帯、NECのパソコン、ソニーのテープレコーダーなどプライスリーダーとなるメーカー品は避けて通ってきた。トップメーカーのいやらしさは、売ってやるぞという、如何にも傲慢な態度にある。鷹揚に構えているふりをして、裏を返せば鉄面皮なとこが嫌味ったらしい。

デジカメや携帯にしても、各社とも新製品の宣伝に余念がないが、裏を返せば、ほとんどがOEM商品、デジカメに限れば三洋電機の中国製品が圧倒的多数を占める。洗濯機や掃除機、冷蔵庫などの家電製品も、実は同一メーカーによるOEMが圧倒的に多い。裏面に明記してあるメーカー名の符牒を辿れば、すぐに分かる。東芝、日立を筆頭に、日本ビクターや八欧電機、明電舎富士電機、日本コロンビアなどのメーカーが驚くほど活躍していた。ならば三洋製品を買えば、各社のエキスが詰まっているからいいだろうと思うが、それがダメなんだから、世の中面白くできている。

目下愛用しているデジカメはリコー製品、いってみれば三流メーカーの品物だ。ところが使ってみると、きわめて独創的で、ある意味で意地の悪いデジカメだ。小さいながらも、7倍ズーム、接写1センチ、28ミリワイド、ASA64、手振れ防止、2,5液晶画面と中々優れものだ。だからだろうか、故障も多く、発売以来保障期間内に8回も新品と交換した。悪女の深情けというが、意地とでもいうか、妙に愛着をそそられるんである。恐らく、新たな買い替えもよほどのことが起きない限り、リコーになるだろうな。