◆閑つぶし

ソメイヨシノ・朝潮運河

コチトラぐらいの年齢になると、生きてること自体が閑つぶしみたいなもんだけど、閑つぶしは楽しいね。閑人なりに色々閑つぶしはあるけれど、最も手軽なのがアゴヒゲ抜きだろうか。ちょっとした痛みもいい刺激になるし、毛抜きで1本、1本、抜くのには、けっこう時間がかかる。それなのに、翌日になると、もう違う箇所から別のアゴヒゲが生えてくる。電気カミソリを当てれば、あっという間に済んでしまう柔毛だけど、それじゃあ閑つぶしにならないもんなあ。

小包などに入ってくるクッション用のビニール。丸いプチプチがたくさんついている。あの丸を一つずつプチン、プチンとつぶしていく。何の意味もないが、あの音と感触の快感にはまってしまうと、もうきりがなくなる。パソコンなど大型電気製品ともなれば、部品もついているし、あのプチンプチンも大きくなるし、数も多くなる。本体よりもプチンプチンの方に目が行ってしまう。だけど、いくら閑人とて、多少忙しい時もある。そんな時には、手を出さないで仕舞っておく。やり出したら、全部つぶすまで終わらないからね。そして、さあつぶすぞって取り出した時、期待感の大きさに思わず胸がときめくね。

若い頃は、閑つぶしと称して、夜ともなればマージャン、それとも、きれいなネエチャンのいるとこで、チョット一杯が定番だったね。むろん1杯で終わるはずもなく、ハシゴして午前様。土日となれば、競馬、競輪にドンブラコ。新婚早々、先輩諸侯にマージャンで大負けし、1か月分の給料を召し上げられた時は切なかったね。こりゃあ、閑つぶしじゃあなくて、穀つぶしだったね。ついでの話だけど、むかし公爵のことをハム公爵、侯爵のことをソウロウ侯爵っていったんだってね。

櫃まぶしは、最初に食した時は感動したけど、東京で食べる「うな重」とは大違いで、あまりにしつっこさにウンザリさせられたね。これでもか、これでもかとばかり、メシの間からウナギが顔を出してくるんだから、もうたまったもんではない。櫃マブシに限らず、味噌カツ、アカダシ、豚足、名古屋ってどうして、あんなにしつっこいもんが多いんだろうか。