◆桃の節句

ハクモクレン

きのう、3月3日は桃の節句だった。コチトラは兄弟二人だったし、子供たちも男兄弟だったから、お雛様というものにはとんと縁がなかった。桃の節句になると女の子が着飾っているのをフンって横目で見ていた。旧暦だと1ヶ月前にさかのぼるわけだから、桃の節句というのも、なんかピンとこない。

にょうぼは初節句のとき、豪華な七段飾りのお雛様をプレゼントされ、ずっと大事にしていたが、国民学校(小学校)2年のとき、東京大空襲で消失してしまったそうだ。とっても残念だったというが、もし焼け残っていたとしても、オトコばかりの我が家では日の目を見なかったかもしれないね。きのうは小さな紙細工の内裏様とお雛様がひっそりと飾られ、雛あられが供えられていた。改めて見て見ると、斬新にデフォルメされた姿かたちが新鮮だった。

毎日のように歩き回っているから、自分でも下町を中心とした色んな花の咲く時期、場所などについては、熟知しているつもりだった。例えば、ウメだったら大島川支川の松永橋際、カワツザクラだったら大横川沿い、オオカンザクラだったら永代橋際、ナシの花だったら浜町公園、ハクモクレンだったら塩浜運河沿い、ピンクモクレンだったら千鳥ケ淵公園、ヒゴミズキだったら木場公園、トサミズキだったら皇居東御苑ハナミズキだったら北の丸公園、ボタンだったら古石場、ショウブだったら仙台堀公園、ハクウンボクだったら牡丹町といった具合である。

だから、行きずりのオバチャンにハクモクレンが咲いているという情報を聞いたときには、正直なところ、息が止まりそうなショックを受けた。プロを自認していたのに、自分なりの秘密の場所をちゃんと持っているのに、あろうことかトウシロウに教えられるとは、なんたる恥辱、なんたる迂闊さか。今年の暖冬は花も狂わせるが、人間も狂わされる。ハクモクレンにしたって、当然、昨年のいつごろに撮ったかを事前に調べ上げている。にもかかわらず、この体たらく、完全に2週間近く早いんだから、いかんともしがたい。この調子じゃ、ソメイヨシノも早く咲きそうだ。今度は遅れを取らないように、用心、用心。