◆どうでもいいけど

晴海トリトン

東京西部から山梨県を走る「西東京バス」には、ちょっと変わった名前のバス停が多い。「夕焼小焼」は、八王子市の中心街から陣場高原に向けて進む途中、恩方地区にある。その由来は、童謡「夕焼け小焼け」を作詞した、中村雨紅の出身地だからだと。奥多摩駅よりさらに進むと「女の湯」がある。残念ながら「おんなゆ」ではなく、読み方は「めのゆ」。さらに「雲風呂」、「金風呂」、さらに奥に進むと「雨降り」、そのお隣は「下り」。国道まで一旦戻り、再び山梨方面に進み、県境を越えると「お祭」。

丸の内を歩いていると、以前皇居東御苑で見かけた馬車の隊列に出会った。いったい何なんだろう。珍しい割にはよく出くわすのもこれまた因縁、調べてみる気になった。どうやら、新任の外国駐日大使が皇居に出向いて行う「信任状奉呈式」の送迎用馬車列の通行訓練だったらしい。信任状奉呈式は、外国元首が発行した信任状を、着任した大使が天皇陛下に届ける儀式。馬車列は、大使用の2頭立て馬車や3人乗りの随員車、10数頭の騎馬隊で編成されている。(東京駅改築に伴い、現在は明治生命館から発着)

金属盗被害が急増している。それも南関東の人目の少ない地味な場所に多いのが特徴だ。埼玉県栗橋町の公園で滑り台の滑降部分(20万円相当)、日光市の「ウェスタン村」でアルミ製サッシ24枚、火の見やぐらの半鐘は、栃木・茨城両県で2月末までに被害が計40件を超えた。小田原市では公衆トイレから銅製の屋根、川崎市の霊園では、約200基の墓からステンレス製線香皿(計40万円相当)。茨城県では、水田から給水管の蛇口約80個。くず鉄相場は1トンあたり5年前の相場より5倍、銅の建値も3.7倍に高騰している。北京五輪を控える中国各都市の建設ラッシュの影響を指摘する声もある。

西東京バスは停留所が多すぎて、思いつくまま、ついつい大雑把に名前をつけちゃったんだろうか、発想が貧困というか、それがいまじゃ巧まざるユーモアに感じられるのがミソだね。馬車の隊列のナゾが分かってほっとした。これで、地下鉄はどうして地中に入ったのかって悩まずに済む。階段だけ残っている滑り台のない公園、鐘がなくなった鐘楼、線香皿のない霊園、屋根のない公衆便所。笑っちゃいけないけど、とてもマンガティック、人の目に付かないところで、努力している人がいるんだねえ。