日刊

勝鬨橋

囲碁将棋のたぐいって、まるで縁がないまま過ごしてきた。子供の頃には野球に夢中だったし、周囲にもそのような趣味を持つものがいなかった。だいいち活発な子供にとってはジジくさい将棋や囲碁なんて、目を向けるはずもなかった。ジジくさくなったいまでも、まるで興味がない。とはいえ、新聞雑誌のたぐいでは、将棋や囲碁の欄というのは必ず設けられているから、なんとなく目を通す仕組みにはさせられている。

スポーツ紙や夕刊タブロイド版には、必ず釣り欄と株欄が大きく扱われていて、これもまったく興味がなかったから、そのまま素通りしている。長年愛読している日刊ゲンダイは、そのほかに競馬欄やエロオヤジ向けの紙面にかなりの紙数を割いている。競馬をやっていた頃やオンナに興味があった頃には、それこそ愛読していたわけだが、競馬をやめ、冬枯れのススキのようになってしまった今となっては、邪魔なページでしかないね。

ゲンダイは43面あるが、いまじゃ素通りするページが多くなって、あっという間に読み終わってしまう。じゃ買わなきゃいいじゃないかということになるが、長年の習慣で、雨が降っていても120円懐に買いに行っている有様。これがないと、なんとなく気が抜けたラムネを飲んでいるような気になるから不思議だ。だからといって、新聞配達を頼めば、なんとなく味気ないから、出かけないときは、夕方になると、いそいそと買いに出かけている。

ゲンダイのいいところは、朝日新聞などでは、あまり取り上げない、いわゆる下世話、あるいは舞台裏の記事が多いのが特徴だ。スポーツ、芸能欄はそういう記事とゴシップ記事で溢れかえっていて、日頃まるで縁がないエビチャンだとか、木村拓哉のことに精通するわけだ。なかんずく面白いのは政治欄で、当たり前のニュースを当たり前にしか報じない日刊紙とは違い、連日痛烈に時の権力者を目の敵にするような記事にお目にかかる。愚直なまでに、政治批判をするわけだが、これがまことに小気味よく、痛快な気分にさせられる。無味乾燥の毎日だから、ちっとは刺激をもらわないとね。