初夢

一富士、二鷹、三茄子」といえば、初夢に見ると縁起がいい順番と江戸時代から伝えられている。なんで三が「なすび」なのかは後に措いておくとして、このあとに、四と五の続きがあるなんて、ちっとも知らなかったね。新春特番、爆笑問題の「最強芸能人雑学王」では、20人の回答者が出席。本命視された石原良純や嫌味な女、西川史子などの高学歴者が早々と脱落する中で、お笑い芸人が4人も決勝トーナメントに進んだ。

10文中6文を正解し、優勝したのはマルチタレント、「伊集院光」と、なんと「東貴博」だった。この手の番組には珍しい高度の知識を要求される問題が多く、日頃雑学には自信のあるコチトラでさえ、分からない問題も多かった。「ところで、一富士、二鷹、三茄子には続きがあります。四は扇ですが、五はなんでしょう」という問題を正解したのは東ただ一人だった。

東貴博はアホを売り物にしていた喜劇役者東八郎の5男坊で、深沢邦之と組んで漫才コンビ「take2」を結成、デビュー当時は、お笑いブームに乗って、「爆笑問題」や「海砂利水魚」(現在のくりーむ・しちゅー)などと肩を並べる時期もあったが、その後はあまりぱっとしなくなった。ひな壇芸人やリポーターとして、なんとか生き残っている感じが強かった。閑さえあれば雑学の本を読みあさり、知識を吸収したそうで、その見事な博識振りには、畏れ入谷の鬼子母神、改めて見直したね。

さて、「一富士、二鷹、三茄子」だが、初夢に見ると縁起のよいものの順である。「富士」は日本一の山、「鷹」は威厳のある百鳥の王、「茄子」は「生す」「成す」で物事の生成発展するさまを言い表す。また別の解釈に、徳川将軍家とゆかりの深い駿河の国と関係づけるものがある。富士はいわずもがな、鷹は富士のすそ野の鷹狩り、茄子は初茄子、初物を食べると寿命が伸びるというわけで、江戸っ子が珍重した初物には初鰹とともに初茄子があった。共通するキーワードは「祝い」であり、「めでたさ」である。これが縁起のよい理由となって、富士・鷹・茄子の次に挙げられたものらしい。