鈴木さん

30万種類とも言われている日本人の名字。おなじみの順番に佐藤、鈴木、高橋・・・と並ぶ。1位の佐藤さんは日本全国にまんべんなくいるが、2位の鈴木さんはある地域に突出しているという。その地域とは静岡県、中でも、特に鈴木姓が多く住むのは浜松市だ。電話帳でチェックしてみると、一番多いといわれている佐藤姓でも4ページなのに、鈴木姓は34ページにも及ぶ。

この理由を探ってみると話は800年前にさかのぼる。戦さの中、消息が途絶えた紀州の鈴木伊勢三郎重家という武士を追ってきた家族が、この地に住んだのが篠原町の鈴木の元祖と言われているようだ。地元で有名な自動車メーカー「スズキ」に勤める「鈴木さん」は772人もいる。

ところで、富山県氷見市といえば、「寒ブリ」の集積地としてつとに有名だが、も一つ意外なことで有名なのが氷見に隣接する新湊市だ。好事家の間で隠れた話題として囁かれているのが奇妙な名字の数々である。富山湾に面する小さな漁港だが、一番多い「釣(つり)」さんを始めとして「魚(うお)」、「草」、「菓子」、「餡」、「壁」、「酢(す)」、「菊」さんなど、他ではちょっとお目にかかれない名字が名を連ねている。中でもユニークなのは「分家」さんで、市内に数件あるが、肝心の「本家」さんがいないのも面白い。