なるほどね

モーツァルト生誕250年ということで、今年は春からずっと癒しの音楽が巷に溢れ、いささか食傷気味だった。NHK音楽祭も「体感!モーツァルト」というテーマを掲げたが、巨匠アーノンクール指揮ウイーン・フィルによる交響曲39,40、41番で締めくくったのは見事だった。ピアニスト仲道郁代の言葉、「モーツァルトの音楽はサッカーボールのようなもの。球面の裏も見なければいけない」。なるほどね、けだし名言。

NFLで長らく不振が続いた名門、シカゴ・ベアーズが早々とプレーオフ一番乗りを決めた。久し振りに攻守走三拍子が揃った陣容だったが、中身を見ると、圧倒的にデイフェンス(守備力)の強いチームだった。LBアーラッカーを中心とする鉄壁の守備陣がチームに怒濤の波を引き寄せた。解説者の言葉、「ディフェンスに不調はない」。なるほどね、けだし至言。

松坂大輔レッドソックスとの契約を終え帰国、記者団の「夢が実現しましたか?」って質問に、「もともと、ボクは夢という言葉が好きではない。見ることはできて叶わないのが夢。大リーグで投げられると信じて、それを目標にしてきた。だから、いま、ここにいると思う」。夢ということばをキチンと定義し直した。超一流は独特の感性を言葉にできる。けだし、剛速球だね。

あるいは裏切りという名の犬」、近く公開されるフランス映画の題名だ。ちょっとおかしな言葉の羅列だが、久し振りに洋画に意訳がつけられたという点で画期的だ。この邦題の付け方に、久々に往年のフィルム・ノワールの匂いをかぐ思いがする。原題は「オルフェブル河岸36番地」、つまりパリ警視庁の所在地、日本でいえば、さしずめ「桜田門」といったところだろう。映画配給会社の英断に乾杯、けだし快挙。