おのまとべ

先日、日本テレビ系列の番組「世界一受けたい授業」で、オノマトベについての話題を取り上げていた。「オノマトべ」とは「ピチャピチャ」、「ザブザブ」、「ビショビショ」などの擬音語、擬態語のことをいいい、漫画表現の中では、いわゆる「描き文字」を指していることが多いという。恥ずかしながら、この専門用語は初めて知った。「オノマトベ」はギリシャ語が語源だそうだが、フランス語で「onomatopee」と書くそうだ。

「オノマトベ」は「やまとことば」とともに翻訳家泣かせの表現だという。例えば、「スベスベした肌」、「サラサラした雪」、「フワフワした掛け布団」は、オノマトベ、 「けなげ」、「いじらしい」、「いたいけな」は、やまと言葉。これら感覚的な表現は、同じ日本人同士なら、すぐそのニュアンスを理解できるのだが、外人さんではねえ。 特に余分な説明のない英語の翻訳は苦労するだろうなあ。日本語の微妙に揺れるような、美しい表現は英語にはないだろうし。

<これらの言葉を英語に訳すときは、一度、別の日本語に置き換えることが必要になる。「すべすべした」は「なめらかなさま」だから、最初に思いつく単語はSmooth、そして、Smooth Skinと訳すとする。ところが、何かもの足りないから、手ざわりがなめらかな絹をもってきて、Silky Skinとすれば、「すべすべした感じ」が出てくる。「さらさら」「ふわふわ」も同じで、感覚的、情緒的なことばを、そのまま英語に訳すには無理があり、また、一つの英語の言葉だけでは、充分ニュアンスが伝わらない。「さらさらな雪」は“Dry and powdery snow”、「ふわふわな掛け布団」は“A light, soft and comfortable quilt”>

<「けなげ」を英語に直訳すれば、使う単語は、Admirable, Diligent, Hardworkingとなるが、それぞれ、一つだけ使っても、「けなげ」というニュアンスは伝わらない。「けなげ」に対して抱いている日本人の感情は、弱い者、逆境、忍耐、勤勉が含まれているからだ。やはり、やまとことばにも、中間日本語が必要になってくるわけで、2つ以上の英語で表現するのがよい>(「スチュワーデス塾」より)  

まあ、分かったような分かんないような説明だが、エアホステスさんも大変だね。最近では、「エグ゙い」、「ダサい」、「シカトする」とか本来の意味を逸脱した感覚的な日本語も乱発されているから、翻訳家は本当に大変だ。まず第一に訳者が、これら若者言葉を正しく理解できるかっていう問題もあるし。