右顧左眄

4文字熟語は得意中の得意分野なんだけど、最近、ふと頭に浮かぶ言葉といえば、「琴瑟相和」、「偕老同穴」、「比翼連理」、「呉越同舟」など夫婦に関する熟語、「一陽来復」、「明鏡止水」、「羽化登仙」、「一瀉千里」、「風流三昧」、「一汁一菜」など、老境に入ったことを感じる言葉、「光陰如矢」、「諸行無常」、「行雲流水」など人生に関する箴言など、林住期突入特有の言葉が多くなった。まだ「恍惚の人」なんて言葉を思い出さないだけましかもね。

「唯我独尊」、「得意満面」、「傍若無人」、「自暴自棄」、「満身創痍」、「「意気消沈」、「一攫千金」、「玩物喪志」、「贅沢三昧」、「牛飲馬食」、「酒池肉林」、「暴虎馮河」、「櫛風沐雨」などの熟語は、わが辞書から完全に消え去ったね。いいことも悪いことも過ぎ去ってみれば、「泡沫の夢」、しょせん「諸行無常」の1語でつきちゃうね。

最近気になった言葉と作品名などを列記する。「左味右味」、「比翼連理」、「英華秀英」、「金容」、「群来」などで、比翼連理と英華秀英はすでにコジゼラに説明もしないまま、そっと手挟んでおいた。左味右味と書いて「とみこうみ」と読む、これは知らなかったね。「比翼連理」は仲のいい夫婦、「英華秀英」は草木の花をいう。

日本画壇を代表する巨匠、安井曽太郎肖像画で一際印象的なのが、青いチャナドレスに身を包み、そっと微笑んでいる艶姿を描いた作品だ。いつも題名を忘れてしまうのだが、この機会に書き残しておこう。その作品名は「金容」という。群来は「くさる」と読み、ニシンがやってくるという意味だそうだ。北海道にニシンがやってこなくなってうん10年、この言葉は北海道独自の言葉なので、いまや死語になっている。