ヤン様

イヤー、ついに生ヤンソンスを体験しちゃったよ。至福のひととき、なんという感激なんだろうか。席もよかったね。バックヤードのビンテージ席、チューバ、トロンボーン奏者真後ろの最前列、あたかもヤン様とまともに向き合う絶好の場所だった。始めのうちはなんとなく照れくさくて伏目がちだったけど、次第に取り込まれていって、まるで一緒に演奏しているような気分、その臨場感はたまらなかったね。最初の曲目はピアノ協奏曲だったから、控えめだったけど、本番のシンフォニーはそれこそ面目躍如だった。情感あふれた演奏で、緩急を自在に操り、要所をピタリと決めるタイミイングは益々円熟の度を深めていた。とりわけフレーズの終わりをびしっと決める技の凄さは、まさに神技とでもいうしかない。

指揮するオケラはバイエルン放送管弦楽団、曲目はチャイ様の「ピアノ協奏曲1番」、ベルリオーズの「幻想交響曲」、会場はサントリー・ホールだった。ただし、場所が場所だけに、木管楽器の独奏なんかは真うしろから見ることになるので、見えるのは頭だけ、音的にはヤン様に対して左側のセクション、ビオラ、ベース、ホルン、チューバ、トロンボーン、テインパニーの音ばかりが偏って聞こえていた。その分迫力も半端じゃあなかったけど、なにせヤン様とまともに向き合っているだけでも、最大のメリットなんだから、これ以上の文句は贅沢かもね。