さいかち坂

皀角坂(さいかちざか)

お茶の水にある変な名前の坂も見ておこうと、水道橋駅に降り立った。線路沿いの坂を、お茶の水方面にエッチラオッチラと歩いていったら、あったよ、ありました。「皀角坂」(さいかちざか)が。「皀角坂」の由来だが、かつては、枝に棘があるサイカチの木が密生していたという。こんな地名が東京にあったことを知らなかったのは、薀蓄を誇る東風とらにとっては屈辱的な思い、その上、その新聞記事をにょうぼに教えられたとあっては、まさに恥の上塗りだったが、やはり、来てよかったね。それにしても、「皀角」という字、「さいかち」と読むなんて覚えにくいことおびただしい。仕方ないから「さいづち頭」の指揮者、ホルスト・シュタインを連想することで、ようやくマスターできたよ。

猿楽町、神保町と通り過ぎ、専修大学前交差点を抜け、ふと気が変わって裏道を歩くことにした。これが大当たり、「俎橋」手前の路地裏に、ひっそりと春原歯科の看板が見えた。あまりにも古風な佇まいに、思わずシャッターを切ったんだったが、よくよく見ると、なんと「春原」に「スマハラ」というカナがふってあるではないか。なんたる幸運、思わずラッキーと勝利の口笛を吹いてしまったね。