ヤンソンス

マリス・ヤンソンスヨッフムクーベリック、デイヴィス、マゼールと引き継がれてきた、栄光のバイエルン放送交響楽団第5代首席指揮者に就任した。オスロ・フィル、ピッツバーグ交響楽団、ロンドン・フィルなどの音楽監督や首席指揮者等を歴任し、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルの常連であるヤンソンスは、2006年ウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」初登場が決まっており、大きな注目と話題を集めている。バイエルンとはいよいよこの秋、ロシア音楽を中心としたプログラムで、待望の初来日となる。

以上の「言の葉」はいずれも受け売りだが、縁あって今年秋の日本での演奏会を聞きに行くことになった。演奏会はとにかく苦手で、あの取り澄ました雰囲気が嫌でたまらないし、しわぶき一つたてずに、息をつめながら聞かなきゃならないなんてmまっぴら御免蒙りたい。

そんなやつがれが、マリス・ヤンソンスの指揮なら、ぜひ行きたいと重い腰を上げようとしているからおかしなものだ。ヤンソンスは日本ではあまりポピュラーな指揮者とはいえないが、昨年のNHK音楽祭で、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を率いて来日した。その指揮振りには参ってしまったね。曲目がチャイ様の悲愴だったということもある。「悲愴」は死期を悟ったチャイ様が絶望の中で、なんとか希望を見い出したい、その錯綜する感情を切々と綴った、なんとも、うら淋しい曲だ。

この曲に対して、ヤンソンスは完全な感情移入をして、まさに鬼神にも迫りそうな見事な指揮ぶりを発揮した。第4楽章の途中で突然休止してしまうエンディングでの、あのなが〜い静寂、切なくて切なくて、思わず涙ぐんでしまったよ。今回のメインはベルリオーズの「幻想交響曲」、こちらも第5楽章で弔鐘が鳴り響き、葬送の列を描くシーンがある。その場面になったらどうしよう、涙が止めどなく出てしまいそうで、いまから心配だ。やはり、行くの止そうかな。