あうん

富岡

阿吽(あうん)を大辞林で引いてみると、<「阿」は口を開いて出す音声、「吽」は口を閉じて出す音声。仁王や狛犬などにみられる、口を開いた阿形(あぎよう)と、口を閉じた吽形(うんぎよう)の一対の姿。吐く息と吸う息。呼吸。相対・対比など相対する二つのものにいう語。>となる。

神社に必ずある狛犬は一見すると、同じ形の像が左右に置かれているように見えるが、阿吽となっていないと狛犬とはいえないそうだ。阿吽になっているからこそ、寺院の仁王と同じように守護神の役割を果たすことになる。だから、沖縄のシーサーは狛犬の範疇には入らないという。そもそも、日本の狛犬は、平安時代天皇玉座を守る守護獣像として誕生し、「神殿狛犬」あるいは「陣内狛犬」と呼ばれていたものが変化したものらしい。

ご当地、富岡八幡にある狛犬は277歳、江戸中期の建造物である。東京にある狛犬のほとんどが米軍による東京大空襲によって消失するか、損壊する中で、たまたま、関東大震災後の修理工事で、境内より一段低い場所に移されたまんまになっていたために、ほとんど無傷で残ったのである。