ノスタルジー

麻布・善福寺

新しいカレンダーの表紙を破るのをためらったのが、ついさっきのようだったのに。

月めくりのカレンダーがいつのまにか1枚だけになっていて、すきま風で寂しそうに揺れている。

「光陰矢の如し」か。なんか感傷的になってしまうな。

ヴェルレーヌ上田敏訳)、松尾芭蕉長恨歌謡曲「敦盛」。

有名なフレーズが次々と頭に浮かんでは消えていく。

「秋の日の ヴィオロンの ためいきの 
身にしみて ひたぶるに うら悲し
げにわれは うらぶれて ここかしこ 
さだめなく とび散らふ 落葉かな」。

「月日は百代の過客にして、
行きかふ年も また旅人なり」。

「年々歳々 花相似たり 
歳々年々 人同じからず」。

「人間五十年 下天の内を くらぶれば 夢幻のごとくなり 
ひとたび生を受け 滅せぬ者の 有るべきか」。