カラス

烏の多い小石川植物園

「夕焼け小焼けで日が暮れて—--カラスと一緒に帰りましょう」って、ガキの頃、夕方になるとよく歌ったもんだった。ほんとうに夕空をカラスが飛んでもいたんだけど、カラスは日没30分前くらいの明るさになると家路につき始めるらしい。気になるのは、帰る先はどこなんだろうということだ。

学者さんの研究によると、カラスは繁殖期こそ自分の巣の傍で寝泊りすることが多いのだけれど、冬の期間は集団で眠るねぐらに帰る。それこそ何千羽と集まってきて眠るらしい。大抵は竹藪で、一羽が竹の先端に止まると少し竹がしなる、しなってできた止まり場にもう一羽が止まる、またしなる、そこにまた止まる、そうして何羽も止まって休むんだそうだ。東京周辺では、カラスの最大のねぐらは埼玉県志木にある平林寺だそうで、あんな遠くからエサを漁りに東京へ出張してくるらしい。

この話を聞いて、憎たらしく思っていたカラスに、なんとなく親近感を覚えるようになっちゃったよ。ねぐらの団地から仕事場の公園まで毎日通ってくるカラスたちが、サラリーマンの姿とダブって見えてオカシイ感じがするんだな。考えてみれば、カラスと一緒に帰りましょうとか、七つの子とか、昔のカラスには親近感があったんだけど、いまほど悪役にしてしまったのは人間のエゴだったのかもしれないね。