笠智衆

笠智衆って俳優がいたっけねえ。晩年は渥美清主演のご存知、「男はつらいよ」でレギュラー出演、わずかな出番だったけども、寅さんが産湯を使った柴又帝釈天の「御前様」としてお馴染みだった。あいも変わらずボソボソとして抑揚のないしゃべり、柴又という下町育ちとは思えない強い訛りは気にはなったが、その朴訥とした風情、穏やかな笑顔はいかにも好々爺として面目躍如たるものだった。

改めて書こうとしたら、笠は「りゅう」と読めるからともかくとして、「ちしゅう」が地衆か知衆か智衆か置衆か治衆だったんかさんざ迷った。改めて見直してみると、なんともおかしな名前である。これが日本人の名前かどうかも疑わしくなってくる。恥ずかしながら本音を言えば、この名前、「りゅう ちしゅう」なのか「りゅうち しゅう」なのかも実は分かっていないのだ。

年鑑によると、<1993年膀胱ガンで死亡、享年88歳。熊本県真宗住職の二男として生まれ、やはり僧侶にしようと仏教大学に入れられるが肌に合わず、松竹蒲田の俳優研究生を経て大部屋に入った>とある。どうやら笠(りゅう)が苗字で智衆(ちしゅう)が名前らしい。寺の次男坊だったそうだから、芸名ではなく本名だったらしいねえ。