開けゴマ

アラビアンナイトアリババと四十人の盗賊」の中で、宝物の入った洞窟の岩の扉を開ける呪文である。ガキの頃、よく「しらけゴマ」なんて呪文を掛ける遊びをしてたなあ。後に洋画で「オープン・セサミ」といっているのを見て、胡麻をセサミというのを知った。ゴマは果実が熟して乾燥すると、ビシッと音を立てて種子を飛び散らすことから、この呪文も生まれたのかもしれない。

長い間NHKで放映されていた「セサミ・ストリート」が契約上の問題から、テレビ東京にお引越しするようだが、この「セサミ・ストリート」はゴマの栽培で大儲けしたテキサスの商人の作った青少年向けの教養機関がテレビに取り上げられたもので、セサミ・ストリートとはそのゴマ農場につけられた町名である。しばらく見ていなかったが、孫の誕生でまたお付き合いする破目になりそうだ。胡麻化すわけにいかないし、胡麻を摺るしかしかないんだろうなあ、トホホの行ったり来たりとなりそうだ。

胡麻を摺る」という喩えは「内股膏薬」と同じように人にへつらうことをいうが、擂鉢でゴマをすり潰すと鉢のあちこちについてしまうことからきたものだが、初めは告げ口する意味で使われていたそうだ。

ついでながら、掏りなどのことを「胡麻の蝿」というけれど、正しくは「護摩の灰」というべきだそうだ。むかし、街道筋で旅人を騙し、掠める盗賊のことをいったそうで、弘法大師護摩の灰を押し売りした悪党の呼び名から転じたものらしい。またゴマを撒いた上にたかる蝿を、見分けにくいことから、「胡麻の蝿」としゃれたという説もある。天麩羅では、ゴマ油にたいへんお世話になっているのに、とんだ悪役を押し付けられたもんだ。