軽子

もっこふんどし

比較的急な上に狭い、「神楽坂」と並行するように、新宿区・揚場町と神楽坂2丁目の境目に、緩やかで道幅の広い「軽子坂」がある。この軽子とは「軽籠持」(かるこもち)の略だそうだ。江戸時代坂の下に船着き場があり、当時船荷を軽籠に入れて市中に荷を運ぶ人を「軽子」と呼び、かれらがこの辺りに大勢住んでいたことから名付けられたという。軽籠とは編みで編んだ「もっこ」のことをいったようだ。

もっこ担ぎっていうと、人夫と同じように、一種の差別用語として使っていたが、いまじゃあ一種の英雄みたいなものだ。バブルの再生とともに、昼中街中でビル工事に従事する、大勢の職人さんたちを見かける。けっこう若いイケメン男性が色とりどりのダボパンで身を飾り闊歩している。昼時のコンビニや食堂などは、そうした客で占領されてしまう。しかも買う量も半端じゃないので、コンビニの棚なんか何にもなくなっちゃう。いつの間に、こちらも外食は早めに食べるか、買ってしまう生活の知恵も身についてしまった。面白いのは、職場が定時制だから、5時過ぎになると、途端に人影はまばらになる。筋骨隆々のオニイサン達がサラリーマン化しているのが、なんともおかしい。
もっこふんどしの写真は九州屋さんのHPより借用)