なみ

一寸法師

「頻浪(しきなみ)」っていう言葉は次から次へとしきりに打ちよせる波のことをいい、あるいは、立て続けという意味もあるようだ。ススキのことを頻浪草ともいうそうで、いわれてみれば風にそよぐ葦のような様はまさに秋の風情だなあ。

瑞浪」って地名と読み方は松本清張の名作「点と線」だったか、「眼の壁」だったかで、すっかり有名になった。清張は由緒あるけど全国的に無名な地名を多用し、ずうずう弁を喋る出雲の亀嵩だとか.神事を司る門司の和芽刈神社とか、事件の鍵を握る場面として登場させた。小説「点と線」は追う方も追われる方も、実社会に生きている平凡人で、社会性豊かな動機と犯罪が描かれ、人間心理をカギとして謎解きが進む。

「白浪」っていえば、歌舞伎で「知らざあ、言って聞かせやしょう」の名セリフを残した弁天小僧菊の助は、日本駄右衛門、忠信利兵衛、赤星十三郎、南郷力丸とあわせて、ご存知白浪五人男の一人である。これが六人となると、講談の世界「天保六花撰」となり、河内山宗俊、直侍、暗闇の丑松、金子一之丞、森田屋清蔵、三千歳など悪党組の登場となる。

小波」っていえば、厳谷小波(いわや さだなみ)が思い浮かぶ。唱歌一寸法師」、「富士の山」の作詞家で、明治・大正期随一の児童文学者だった。以下、一寸法師の1番の歌詞から。「指に足りない 一寸法師 小さい体に 大きな望み お椀の舟に 箸の櫂 京へ遥々 上り行く」

「アムール河の波」っていえばロシア民謡だが、アムール河は対岸も見えない程、巨大かつ長大な大河で、ロシアと中国、かってはソ満国境の分水嶺だった。ぼくらには黒竜江の方が馴染みが深いが、中国と北朝鮮を隔てる鴨緑江、ロシアと北朝鮮を隔てる豆満江など、この辺りの大河はいずれも国境を隔てる分水嶺となっているのも興味深い。一番緊迫している、韓国と北朝鮮を隔てる38度線はこうした自然の分水嶺で分けられていないのが、如何にも人為的な国境であることを物語っている。