たまゆら

艶か(孫リコ)

玉響(たまゆら)は二つの玉がそっと触れ合う時の微妙な音色をいうんだそうだが、ほんのしばらくの間という意味もある。同じく「仮初め」(かりそめ)はふとしたこと、本気でないという意味のほかに、しばらくっていう意味もある。同じような意味合いを持っているが、言葉の響きにはまったく違った感じがあって、たまゆらは情緒を感じるのに、かりそめは現実的な意味合いを感じてしまう。泡沫(うたかた)って言葉の響きも、かりそめと似た感じがあって、気になる言葉の一つだ。「たまゆら」、「かりそめ」、「うたかた」、この三つの言葉はいずれも語尾に「恋」がつくと、悲恋を匂わせる切ない言葉となる。

あと、「あえか」という言葉、か弱くなよなよした様をいうんだが「艶か」と書く。「嫋嫋として」もなよなよしている様をいうが、「あえか」は「艶か」よりも「嫋か」と書いたほうが余韻を感じられるんだなあ。「艶か」は源氏物語に出てくる言葉だが、今では、つややかとか色っぽい風情の方が合っている。