ケロリンとムヒ

ケロリン桶

銭湯で子供に蹴飛ばしても、腰掛けにされても、ビクともしないケロリン桶は、別名「永久桶」とも呼ばれている。この風呂桶の由来は、東京オリンピックの前年(昭和38年)、衛生上の問題から、銭湯の湯桶が木から合成樹脂に切り替えられる時期に、「湯桶にケロリンの広告を出しませんか」と持ち掛けられたのがキッカケで、全国の銭湯、温泉、ゴルフ場などの浴室へと波及していった。
以来、延べ200万個も納入し、現在も年4、5万個のペースで納入が続けられている。ケロリン桶には関東サイズと関西サイズがあるようで、どうやら下半身の容量が関東のほうが大きらしい。
肝心要の薬だが製造元は内外薬品で、発売以来100年になる薬そうだが、頭痛薬でしかも主成分がアスピリンだったとは、ちっとも知らなかったよ。どういうわけか、あんなに有名だったのに使った覚えもないしなあ。もっともアスピリンが採用されたのは戦後になってからだろうけどね。

ムヒは蚊に刺されてかゆいとき、思わず手が伸びる、かゆみ止めの定番だ。
この薬の名の由来は、ほかに比べるものがないほど良い、つまり「唯一無比」「天下無比」からとられた。製造元は富山県上市町に本社がある池田模範堂で社名には「社会の模範に」という意味が込められる。商品名を含め、命名者の初代社長、池田嘉吉氏が生きた大正、昭和期の香りがする。
「富山の薬売り」で会社を立ち上げ、戦後、東京の広告会社へコメ俵を担いで行き、それで新聞広告枠を買い取った。家庭に薬を置いて売る方式から薬局販売へと流通形態が変化することに機敏に対応しヒット商品になった。江戸っ子にはむひさされ(虫刺され)のムヒってことで覚えやすかった。