猫踏んじゃった

落ち葉と東京駅

むかしは夕方になると、近所の家からつたない音ながらピアノで爪弾く、「猫踏んじゃった」とか「エリーゼのために」だとかが聞こえてきたもんだったが、最近は団地生活のせいもあるんだろうが、あの懐かしい音に接する機会が少なくなったのは寂しい気がする。

黒鍵を主に使い手をクロスさせ和音まで操る、楽譜にすると♭が6つの変ト長調(♯が6つの嬰ヘ長調)ということで、非常に難しい曲なのに、「ネコふんじゃった」は多くの人が簡単に弾ける曲なんだなあ。この曲、実は世界中でいろいろな曲名を持つ。

例えばロシアでは「犬のワルツ」、スウェーデンでは「豚のワルツ」、ドイツでは「ノミのワルツ」、スペインでは「チョコレート」、デンマークでは「公爵夫人」、韓国では「ネコの踊り」、ルーマニアでは「黒ネコのダンス」、といった具合で、公爵夫人以外は一様に同じような名前なのは、音楽が人類共通の言語の証明だねえ。作者不詳だが、ピアノ練習曲として考えられたと言われていて、「ネコふんじゃった」を簡単に弾くことが出来るのは、楽譜に頼らず動きを記憶する教え方、学び方をするため。ピアノの練習では楽譜で学ぶよりも、上達の早い効果的な学習法のはずが、この「ネコふんじゃった」については遊びとされ、評価が低いのが残念なところだなあ。