プロ

プロって略語には3種類ある。プロフェッショナル(職業)、プロスティチュード(娼婦、売春婦)、プロパガンダ(宣伝)。この内、プロパガンダはドイツ語からの転用だから、英語としての歴史は浅い。アメリカのハードボイルドだどを読んでいると、プロって言葉が矢鱈と目に付くのだが、ご丁寧にも翻訳者がわざわざプロの娼婦などと訳していて、目障りでしょうがなかった。
ませたガキはこの言葉を既に知っていたからだ。

まさか花を売るんじゃあるまいに、どうしてたかがセックスの売買が春の売買になってしまったんだろう。そして、誰もがなんの疑念もなく、当然のことのように使っている。連日、新聞紙面には、警官や先生やスポーツマンが春を買って捕まった、という記事が載っている。一見すると、春を買ってなんで悪いんだ、と思わず開き直りたくなる。

あんなもん、春どころか毒そのものじゃないか。処女だからこそ春はふさわしいのに、使い古した中古品にも、夢を持って接しろとの有り難いご宣託なんか。どうせどこかのノータリン、小役人が考えたんだろうが、時代錯誤も甚だしい。片っ方では舌をかみそうなストーカー、片っ方では時代錯誤な売春、買春だなんて、日本のお役人の見事なユーモア感覚には、まったくもって感服させられる。

ところで、去年10月19日に売春を職業として認める法律がドイツの連邦議会を通過したそうである。こうして売春が職業として認められるので、今後は自営業者としてだけでなく、他人に雇われて性的サービスを提供することができる。売春を組織する者は、今まで売春婦に施設や用具を使用させ、法外な使用料をとり、両者の関係は搾取・従属関係であった。
これが普通の雇用関係となり、今後は職業を偽ることなく、社会保険(失業、年金、健康)に加入できるようになる。

この法律がまさに画期的なもんかどうかは分からないが、今や、そういう時代になったんだ、ということだけはよーく分かる。