酉の市

今年は三の酉の年なんだが、言い伝えによると寒い冬になるという。
三の酉の年は寒くて火事が多いって、おばあちゃんがよくいっていたっけ。
俗に「西の戎 東の酉」といい、関西に酉の市はないが、最近では戎でも熊手が売られるようになった。熊手を「さらい」と呼び、飾り物が熊手の甲についているのに対し、酉の市では手の内に付けられていて、福をかっこめというシャレでもある。

酉の市では金銀を掻き集めるという言い伝えから、オカメの面と小判などでゴテゴテに飾られた熊手が縁起物として売られている。熊手に七福神が乗る宝船を置き、全体に赤っぽい色をしている「赤もの」、熊手におかめを中心に置き、松の緑などで青っぽく見える「青もの」とがある。
「ざる熊手」、「注連縄熊手」という珍種もある。

大きさによって下は1000円単位から10数万円もするものまである。
売れると売人のテキ屋の親方や若い衆がシャンシャンシャンと手締めしてくれる。
シラケ鳥が飛んでいってしまった俄かバブルでも、神頼みする人で賑わりそうだ。

東京では一般に酉の市というと、11月の酉の日に行われる、浅草大門そばにある鷲神社(おおとり)の祭礼にできる市が有名だ。
普通の年は二回なんだが、今年は三回ある年だから、三の酉まであるわけだ。
酉の日とは、江戸時代日にちを十二支と十干の組み合わせで現していた名残りだ。
毎月12日ごとにあるわけで、通常は月2回だが、巡り会わせによって月3回になることもある。