かぶら

最近の男性のズボンはストレートが主流となっていて、ズボンの裾を折り返す「かぶら」付きのものは、あまり見かけなくなった。
かぶらのスナップを外して広げると、よくゴミがたまっていたり、時としては100円玉が転がり込んでいたりしたもんだった。
いまでもたまにかぶらの付いたズボンをはいたりすると、なぜかほっとするんだなあ。
人間の慣れって恐ろしいもので、あの微妙な重さと量感が、心身を落ち着けてくれる気がしたもんだった。

この折り返しは短くなった時に伸ばして使うためではないし、もちろんホコリを溜めるためでもない。
また、裾周りが重くなってスッキリしたシルエットになるからでもなく、元々は「泥除け」の方法だった。
このズボンの折り返しには名前がいくつかあって、イギリスではターンナップ(Turn-Up)、アメリカではカフ(cuff)、マッキンという呼び方もある。
日本では「かぶら」という名前もあって、これは明治に外国人が「Turn-Up」と呼んでいるのを聞いて、辞書で「Turnip」(蕪:かぶら)を引いてしまったが、呼びやすいということで広まったといわれている。