羅宇屋

最近、ちょっとタバコを吸おうとしても露骨に嫌な顔をされ、愛煙家にとっては「喫煙ファッショ」という受難の時代になってしまった。
ぼくらがタバコを吸い出すちょっと前までは刻みタバコ愛好家もけっこういて、羅宇屋(ラウヤまたはラオヤ)が煙管の竹を取り替えましょうなんて、行商している姿をよく見かけたものだった。巻きタバコでさえ受難の時代だから、羅宇屋なんて商売は消滅してしまったけど、紙芝居、鋳掛屋、金魚売り、などと下町の風物詩だったんだがねえ。

ラオ屋は煙管と雁首をつなぐ竹の管を交換するのをなりわいとしたが、このラオって言葉の響きもバッテラと同じように、おかしなもんだよなあ。
それもそのはず、羅宇は東南アジアのラオスから転じた言葉で、同国産の竹が由来となっているだけでもオドロキだが、煙管の語源もカンボジア語のクシエル(管)からきているっていうんだから、江戸時代の鎖国制度も穴だらけだよねえ。
コンフェイトスが金米糖、ズダ袋は頭駝袋が語源、ドンタクは日曜日、半ドンは土曜日だったねえ。もっとも半ドンには昼を知らせる空砲を撃ったからって説もあるなあ。