あげまん

「あげまん」という言葉、巷の好事家が隠語として使っていた一種の放送禁止用語だった。
が、伊丹一三監督が1990年に製作発表した5作目の映画題名に使い、一躍表舞台にデビューしてしまった。
伊丹監督は社会派監督として次々と快作を発表、「お葬式」、「タンポポ」、「マルサの女」、「ミンボーの女」、「あげまん」、「マルタイの女」など話題を提供してきたが、ある日突然自裁してしまった。
彼の作った映画の主役は常に愛妻の女優、宮本信子、その起用に執拗なまでにこだわっていたが、けっきょく分ったことは宮本信子様は「あげまん」どころか「さげまん」だったということだった。
そして「あげまん」という映画は三番煎じもいいとこで、伊丹作品の中で最もつまんなかったってのも皮肉なことだった。