◆楽興のとき

ショパン生誕100年の今年、世界各地で記念演奏会が開かれている。
記念すべき今年、5年に1回開催されるショパン・コンクールで優勝したのはロシアの女性ピアニスト、ユリアナ・アヴデーエワだった。
女性ピアニストの優勝は、アルゼンチン出身アルゲリッチ以来45年ぶりだそうだ。
優勝のご褒美の一つに、NHK交響楽団との共演があり、早々と来日した。演奏したのは受賞曲、ショパンのピアノ協奏曲だった。

大きな目をした小柄なピアニソトだが、25才という年齢に見合わない、落ち着いた熟練さを発揮し、NHK交響楽団相手に堂々の演奏をしてみせた。
時には演奏しながらオーケストラをリードするような仕草もみせ、余裕綽々といった演奏だった。
小さなミスタッチもあったが、あの程度ではご愛敬だろう。

N響とはテレビの画面を通して20年近いおつきあい、その間メンバーの入れ替えもあったが、見慣れたメンバー達も、応分に年を取っってきた。
コンサート・マスターの堀正文が、今日の演奏会、アヴデーワの後ろに何度も映っていた。
若い女性との対比だから、尚更そう思ったのだろうけど、随分年を取ったなって感じた。
そういえば指揮をしたシャルル・デュトワもめっきり老けた。

試用期間を終えて、樫本大進が天下のベルリン・フィルコンサートマスターに正式の就任した。
楽団員3分の2の承諾を得るという難関を突破したんだから、たいしたもんだ。