◆土曜日

ハギ

土曜日の昼下がり、といっても4時前後となるけれど、透析が終わって、B級グルメも楽しまず、ゆっくり歩いて家に帰る。窓を大きく開いて、まずは一服しながら、漠然と外を眺める。ボサーットしてなにも考えない、なにも思わない、まさに空白の時間である。この時間ほど快いものはない。ふと我に返り、ああ!今週も終わったんだなと述懐する。月日の経つのは早いもんだと実感するのもこの時である。

はや10月も後半を迎えているけれど、土日を含め休日は大嫌いだ。どこもかしこも人、人、人、最近の豊洲周辺もまさにそれだ。週末になると、普段静かだった豊洲周辺は浮き足立ってくる。大勢の人がどこからかやってきて蝟集し、喧騒を極める。ベビーカーを押したり、幼児を連れている若い夫婦が多いのが、この地の特徴だから、騒音のデシベルはピークに達する。子供が秩序を乱したりしても決して叱らないのが、昨今の母親の常だから混乱はいや増すのである。この煩わしい喧騒から逃れたいため、週末や連休の日は絶対この地には立ち寄らない。

以前は老人専用バスみたいだった都バスも、若夫婦と子供で一杯になる。例えば銀座に行くにしろ、浅草に行くにしろ、ゆっくりと座っていけたんだが、いまは下手すりゃ終点まで立ちっぱなしになる。これじゃあとても出掛ける気にもならないね。土曜日は透析があるので、その後で空腹を満たさなければならないのだが、B級グルメ店は普段閑古鳥が鳴いているような店でさえ、行列が出来ている。行列の並ぶくらいならと、コンビニで食い物とお茶を買い求め、近くの人気の少ない公園のベンチで、物欲しそうに近寄ってくるハトやスズメをからかいながら、わびしい昼食を取る。

低血糖の数値が出るたんび、看護師からブドウ糖を打ちましょうかと尋ねられるが、普段なら、都度お断りしている。病院を出た後のB級グルメが楽しみだからだ。その時の血糖値が100を多く下回っているときは、まず自販機でコーラを飲み、低血糖を上昇させ、じっくりとB級グルメ店の散策となるのだが、土曜日はそうはいかないのだ。

その一方で、土曜日になるとほっとすることもある。日曜、月曜と2日間透析というしがらみから解放されるからだ。週3回の透析が生活の大きな比重となっている昨今で、それに慣れてしまってるが、やはり2日続けて透析がないというのは、ある種の開放感がある。この日何をしようかって考えるのも楽しいが、結局はグータラと時を過ごすことが多い。