◆死語

豊洲運河の水門

「オカチメンコ」とは、「ブス、不細工、器量の悪い女性」をいう。ぼくらはブスというと悪意の籠った言葉、オカチメンコはやや愛嬌のある表現として使い分けていた気がする。接頭語「お」に餅を意味する古語「搗飯(かちいい)」が訛った「かちん」が付いて「おかちん」、さらに、それが語尾変化して「おかち」。「顔」を意味する「めん」に親愛の情を示す接尾語「こ」で「めんこ」。両者をあわせて「おかちめんこ」となる。したがって、本来の意味としては「餅のようにのぺーっとしていて目鼻立ちがはっきりしない顔」となる。

「ブス」とは不細工のことをいい、容姿や見た目が醜い様子を指す。元は細工(工芸品)の出来が悪いことを言い、転じて、物事一般に体裁が悪いこと、好ましくないことを指す。人に対して使うと侮蔑の意味を持つ。略してブサまたはブスともいう。デブ(肥満体)で不細工、またはデブだから不細工な人をデブとブスで「デブス」と言うこともあった。いずれにせよ、前回触れたように、そのような存在そのものが希少価値と成ってしまったため、必然的に死語化している。

「ウンチングスタイル」とは両脚を開いて膝を屈曲させたままお尻をつけずに座る体勢。和式便所でうんこをするときのスタイルに由来する。和式便所の衰退とともに死語化しており、同様の体勢でお尻を床や地面につけてしまうジベタリアンの台頭により、いっそう見かけなくなったスタイルである。「うんちんぐスタイル」の死語化は、現代人の足腰の弱さを傍証する現象といえる。

だからなのか、よく不良ぶった若者がコンビニや道端にたむろしている格好は、まさに死語となったはずのウンチングスタイルそのものである。「ジベタリアン」という新語もあるが、こちらの方が愛嬌がある。一部の若者風俗が死語を甦らせたんだからたしたものだ。

ちなみにコチトラもこのスタイルの愛好者で、たとえベンチがあったとしても、ベンチに座らずこの格好をする。何故なら、見た目は悪いけど、一度やったら止められない楽な格好だからである。それと人目を気にしなくていい年齢ということもあるかもね。ただし、下痢気味の時は絶対してはいけない姿勢でもある。押すと餡でるという肉体的欠陥が諸に出てしまうから、ご用心、ご用心。