◆運転免許

ケヤキ

今年の誕生日で運転免許証が切れる。車を運転することなどほとんどないから、だけど、身分証明書の代わりになるし、どうしようかと迷っていた。すると東京都公安委員会から手紙が届いた。昨年度からの法令改正により、高齢者は公安委員会が指定する最寄りの運転免許試験場や自動車教習所などで、事前にシニア講習を受け、取得した終了証明書を添付しないと、新たな免許証は発行されないということだった。

幾つかの検査があり、最後に車を実際に運転するらしい。3年ほど空白があるので、運転には自信がなかったけれど、納付金6千なにがしを支払って、3時間余りになる講習を受けることにした。案ずるより生むがやすし、割合簡単に修了証書「特定任意高齢者講習終了証明書」を手にすることができた。もし、この講習がうまくいかなかったら、「運転経歴証明書」を申請すればいいとも思っていた。これは運転免許証を返納した高齢者に、過去に運転免許証を持っていたことを証明するもので、運転免許証と同じ体裁で作られ、身分証明書の代わりになるという。

ところが、教習所の先生から驚くべきことを知らされた。実はすでに12万人の高齢者がこの証明書に変えているが、この運転経歴証明書なるもの、身分証明書の代わりにならないとのこと。何人かの高齢者が銀行に新しい口座を開設の際、身分を証明するものとして提出したところ、拒絶されたという。つまり身分証明書にはならないという見解だそうだ。当然、大騒動となり、行政サイドはその対策に奔走させられているらしい。結論はまだ出ていないそうだが、警視庁のとんでもない早とちり、ろくな足固めもしないで、先行してしまったらしい。

このシニア講習も、老齢者による事故軽減という美辞麗句に隠されているが、実は露骨な関連団体に対する利益供与にほかならない。わずか3時間ほどの講習で6千なにがし、その金額の多寡は別として、年金生活者から無理やりむしり取っていくんだから、福祉行政なんて言葉は、ほんと、嘘っぱちもいいとこだね。先ほどの運転経歴証明書なるものだって、それなりに納付金を取っているわけで、まやかしもいい加減にしないと、老害住民たちの一揆がおきるぞ。