◆セレンディピティ

「セレンデイビティ」とは「当てにしないものを偶然発見する能力」をいうそうだ。セレンディップという国の3人の王子が苦難の旅を続けるうち、幸運に助けられて、求めていたものを見つけ出す。そんなエリザベス・ホッジス原作のおとぎ話がもとになって、いろんな国で物語になっただけでなく、言葉までが独り歩きするようになったという。科学の世界ではよく使われている言葉で、たとえば、英国の細菌学者フレミングが偶然にカビの生えた培養皿からペニシリンを発見したことなどが代表例だという。

たたくとすぐ美しい音が出る太鼓や鐘のように、間髪を入れず反応を示す、江戸っ子の生き生きした対応を表す言葉だといわれているのが、「打てば響く」という表現だ。
祭などに何らかの意味でも参加していると、打てば響くということがどんなに大切なことかがよく分かる。「打てば響く」ような素早い反応が「くせ」になると、相手が言いたいこと、考えていることに、だんだん想像力が働いてくる。一目も二目も先が読め、相手のことを思いやれるようになって、「指図されなきゃ動かないのはかっぺいだ」と江戸っ子が自負したような生き方が生まれたのだろう。ここでいう「かっぺい」とは田舎っぺいでない。「井の中の蛙」という意味で、「井蛙(せいあ)っぺい」とも言っていた。(一部朝日新聞B版「江戸暮らし」から引用)