佃の祭り

獅子頭

中央区佃の佃住吉神社で3年に一度の例大祭が6日始まった。伝統色豊かな祭事が8日まで繰り広げられる。神社建立から来年で360年になるのを記念し、今回は一層にぎやかに催される。この日は大小六組の獅子頭の宮出しが行われた。若衆が獅子頭を担ぎ出すと、縁起がよいとされる雌獅子の鼻に触れようと人々がもみ合い、一帯は熱気に包まれた。7日は本社の八角みこしが宮出しされ、古来の海中渡御を模し、佃公園隅田川テラスから台船に乗せて東京湾を周遊する。8日は各町内を練り歩く。

最古の八角みこし

住吉神社の宮神輿は、八角形の形をしているところから「八角みこし」と言われる。天保年間の作という。紫宸殿など天皇の御座する場所が八角の屋形に据えられるところに由来する。佃にはもうひとつの宮元神輿がある。重さ百貫ともいう重厚な造りで、昭和30年代に人形町の八町みこしを買いとったもの。

伝統の獅子まつり 

佃島には幟が6か所に立ち、それぞれ小屋が造設されて、その中に対の獅子が安置される。祭りの初日にはこの獅子が神社でお祓を受けたのち一斉に担ぎ出される。境内を埋めた勇み肌の若衆が我先にと獅子の鼻頭にふれようと駆けよる。朱色の欄干に擬宝珠を冠した可憐な佃小橋のほとり、佃堀の底に埋められた大幟の柱が掘り出されると「誰もが興奮で体がぞくぞくする」という。

新しい行事船渡御

佃の祭りは昔から神輿を隅田川に繰り出すことで知られたが、カミソリ堤防が出来て中止になった。それが平成2年の大祭から「船渡御」として28年ぶりに復活して内外の注目を集めた。佃ばやしを先頭に台船に乗せられた宮神輿が隅田川から晴海沖まで繰り出して佃に帰還する。佃まつりの新しい風物詩で佃公園は人で埋まり、歓声でわく。