あほんだら

公衆便所・石川島公園

「でーぶ でーぶ 100貫でーぶ お前のカアチャン でーべそ」、喧嘩で負けそうになると、逃げ腰でこのセリフを囃すのが弱いガキの常套手段だった。東風とら、いじめっ子の方だったから、もっぱら言われ専門だったけどね。デブじゃあなかったけど、まんたびこのセリフを聞かされると、ときどきえらく腹が立ってきて、弱虫どもを、よく追っかけまわしたもんだった。だけど、あの時代だったから、さすがに百貫デブなんていなかったし、なんであんな悪口が流行ったのかなあ。

「みっちゃん 道々雲古垂れて、紙がないので手で拭いて、もったいないから舐めちゃった」、このセリフもずいぶん使わせてもらった。谷端小学校の美智子、美紀、満江、道子、美津江の諸嬢、慙愧にたえませんでした、心からお詫びいたします。でも教科書にも載っていないのに、この言葉はあっというまに全国制覇を遂げてしまったんだったよなあ。

「でーぶ」の後に続く悪口雑言も半端な数じゃあなかった。「バカ」、「阿呆」に始まり、「間抜け」、「とんま」、「うすのろ」、「とんかち」、「ボケ」、「あほんだら」、「バカ野郎」、「バカったれ」、「糞ったれ」、「しみったれ」、「洟ったれ」、「おたんこなす」、「おたんちん」、「呆けなす」、「ひょうろく玉」、「へちゃむくれ」、「クルクルパー」、「唐変木」、「とんちき野郎」、「下司」、「ブタ」。
とまあ、なんと悪口ボキャの豊富なこと、舌の回らないガキン子まで見よう見真似で叫んでいたもんなあ。