はまる

枝川・白山湯

「はまる」なんて言葉、若い女の子が気楽に使っているのを聞くと、なぜかドキっとする。
むかしは「女に嵌る」なんて悪い言葉の代表格だった。
ガキの頃は、ろくに分ってもいなかったのに、大人びた表現が嬉しくて、
セックスのことを「はまる」なんていっていた。
だから「どんぐりコロコロ どんぐりこ お池にはまって さあ大変」なんて歌は、
まるでエロ歌みたいなもんで唱歌の授業中、
悪童たちはクラスの女の子の顔をニヤニヤしながらうかがったりしてたもんだ。

「風呂敷」はふるしき、ガキのころ「古敷」と書くもんだと信じていたし、台所にあった「みみだらい」はてっきり耳を洗うもんだと思っていた。
たらいについてる取っ手のことを「耳」っていうのも知らなかったからね。
そういえば「銭湯」のことを「ゆうや」(湯屋)っていっていたし、
母親は出掛けるときに、「ちょっと用足ししてくる」なんていって出ていき、なにがちょっとだ、中々帰ってこなかったなんてことも多かった。