◆雪が降ってきた

「樹氷」8朝日新聞より)

夕べ10時半ごろ都心に初雪が降ったとのインターネットからの便り。さっそくベランダに飛び出したが、こちらはひとひらの雪さえ舞っていず、氷雨がひっそりと路端を濡らしていた。雪ってどうして、このように人の心を揺するのだろうか。都会育ちのコチトラにとって、雪っていうものは常に憧れであり、神秘そのものなんだろうなあ。その幻想さと、夢幻さに憧れるんだろうか。ところで、雪っていうと口ずさみたくなる歌がいくつかある。

♪雪やこんこ あられやこんこ 降っては降っては ずんずん積る
山も野原も わたぼうしかぶり、枯木残らず 花が咲く♪

♪雪やこんこ あられやこんこ 降っても降っても まだ降りやまぬ
犬は喜び 庭かけまわり、 猫はこたつで丸くなる♪(小学唱歌「雪」より)

♪雪が降ってきた ほんの少しだけど わたしの胸の中に 積りそうな雪だった
幸せをなくした 暗い心の中に 冷たくさびしい 白い手がしのびよる♪

♪雪がとけてきた ほんの少しだけど わたしの胸の中に 残りそうな雪だった
灰色の雲が 私に教えてくれた 明るい陽ざしが すぐそこに来ていると♪
(「白い思い出」より)

雪の降る街を 雪の降る街を 想い出だけが 通りすぎてゆく
雪の降る街を 遠い国から 落ちてくる この想い出を この想い出を 
いつの日かつつまん 温かき幸せのほほえみ♪

雪の降る街を 雪の降る街を 足音だけが 追いかけてゆく
雪の降る街を ひとり心に 充ちてくる この哀しみを この哀しみを
いつの日かほぐさん 緑なす春の日のそよ風♪(「雪の降る街を」から)

「雪がとけてきた」で始まる歌の題名がどうしても思い出せない。悪戦苦闘の末、ようやく「白い思い出」だと分かったが、どうも判然としない。こんな題だったかなって思いが強いんである。だれが歌っていたのかも思い出せない。雪というと真っ先に口ずさむ曲なのに、題も歌手も分らなかったとは、これは決してど忘れなんてもんじゃない。奇妙なことに、最初から知らなかったんである。

「雪」の一節、「雪やこんこ あられはこんこ」は「雪やこんこん あられはこんこん」だと思い込んでいたなあ。「雪の降る街を」はNHKのラジオ歌謡から生まれた。内村直哉が作詞した、格調高い歌詞を、シャンソン歌手だった高英男がバタくさく歌っていた。その歌い方にとっても違和感を感じていたけど、結局は曲の素晴らしさのとりこになっていたね。冬に歌う愛唄書曲集の定番として、よく歌ったなあ。単調な導入部から徐々に盛り上げていくテクニックが要求された曲だった。