さむらい

そばに使えるという意味の「侍」は論語、男性や人を指す「士」は詩経にも出てくる古い漢字だ。もっとも明治になってから多用されたのは、もっぱら「士」の方で、兵士、消防士、紳士、弁士、弁護士、弁理士公認会計士経理士、不動産鑑定士測量士司法書士など、男性や一定の資格を持つ人を表す言葉に使われきた。これらの資格は「侍資格」または「士資格」と呼ばれていて、「サムライ商法」という新手の商売が詐欺まがいの遣り方ではびこっているらしい。

資格試験を持ちかけ「将来、国家試験になる」などと、うその説明で高額の教材や講座を契約させる手口で、資格を取れれば内職を世話するなどと消費者をだますインチキ商法だ。かって会社への忠誠は主君に仕える武士の美徳と同一視されたこともあったが、バブルが弾け、終身雇用制が揺らぐ時代の悪徳商法に「士」がつくというのはいかにも皮肉なもんだねえ。